〔2023年度〕気候の歴史博士 久保田好美先生による「小さな化石から探る地球の気候変動」

2024/1/27(土)10:00~11:00 終了しました!

実施報告

ワークショップが始まる前に雑談をしていると、事前に送った微化石を観察するセットをすでに多くの子があけて楽しんでくれていたことが分かりました。特に、スマートフォン用のマクロレンズをお配りしたので、家の中で色んな写真を撮って楽しんでくれている様子などを次々に見せてくれました。レンズを変えるだけで、見え方が変わるのが楽しかったようです。
そして、先生からいただいた貴重な微化石のサンプルをお皿に出して、筆でそっとピッキングするワークでは、みんな、シーンと静まり返って集中。丁寧な子は、ひとつづつ、穴あきスライドに並べていました。
瓶やスライドにラベリングをする工程も、研究者の方法をまねて実施。
作業をしているとこども達が思わず、「先生の研究は何の役にたつのですか?」と質問がありました。手元の作業も楽しいのですが、ふと疑問に思ったのでしょうね。色んな世界があることを、今日も楽しく知ることが出来ました!

プロフィール

気候の歴史博士
久保田 好美 先生

国立科学博物館
地学研究部 
環境変動史研究グループ 
研究主幹

大学院から気候変動の研究に興味を持ち始め、プランクトンの化石を使った気候変動の研究を行ってきました。何百万年という長い時間の地球の気候や海の変動が小さな化石からわかるというところに魅力を感じています。

経歴
2007年3月 京都大学 総合人間学部 卒業
2013年3月 東京大学大学院 理学系研究科 地球惑星科学専攻  博士課程修了
2013年4月〜2021年9月 国立科学博物館 地学研究部 環境変動史研究グループ 研究員
2021年10月~ 国立科学博物館 地学研究部 環境変動史研究グループ 研究主幹

ワークショップ内容

小さな化石から探る
地球の気候変動

「化石」と聞くと、恐竜やマンモスのような博物館にかざられている大きなものを想像すると思います。しかし、「化石」になるのは大きな生物だけではありません。海の中をのぞいてみると、目ではみえないくらい小さいプランクトンがたくさんいます。そうしたプランクトンも化石となり、昔の地層からたくさん見つかるのです。では、そんな小さなプランクトンが一体何の役に立っているかって?実は、プランクトンの化石は地球の大きな気候変動を知るのに欠かせない化石なのです。

私の研究室では、小さな化石を顕微鏡でのぞきながら筆を使って一つ一つ拾い出し、分析しています。プランクトンの化石はどのくらい小さくて、その化石からどんなことがわかるのか、ぜひ一緒に学んでみましょう。博物館の展示では、大きな化石の影に隠れて日の目をみない小さな化石ですが、その魅力をみんなで発見していきましょう!

過去の実施記録

・2021年度
・2022年度

こども達に、普段の生活ではまず気づかない世界について知ってもらい、その面白さを共有してみました。「ただの砂粒」か、「意味ある砂粒」か、博士だからこそ伝えられる時間、みんな「面白かった」と言ってくれたのがとても嬉しかったです。
博物館などにお出かけしても、「なんだろうね?これ。小さいね~」くらいの感想で終わってしまうことも多いと思いますが、このワークショップを経験したこども達は、意外なことを調べることができると知っているので、思いを寄せて観察することができます。そして、小さな化石にとどまらず、あらゆる展示物を何かの可能性があるという前提で見ることができるはずです。これは、大きな違いですよね。世界が違って見えると思います。